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カナダでの離婚~子どもがいる場合~

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 こんにちは、通訳の安藤です。 今回の離婚シリーズは離婚と子どもについてお話します。 (free download from rawpixcel) 1.親権について 日本で両親が離婚する際は一方の親が100%の親権を持つのが一般的ですが、カナダでは両方が親権を持つのが一般的です。どのくらいお互いが子どもとの時間を過ごすかはその過程によって異なります。例えば1週間ごとにお互いの家を行き来する場合もあれば、平日はお母さんで週末はお父さんという家庭もあります。 2.子どもを連れて日本へ戻れるかは相手次第 親権をお互いが持つことが一般的である為、もう一方の親の了承なしで日本へ子どもを連れて帰ることはできません。ただし相手がドラッグやお酒に依存しているなど子どもを養育するにふさわしくない状態にある場合にはその限りではありません。 3.養育費について 養育費は多く子どもと時間を過ごす方に対して支払われ、その額はお互いの収入をもとに計算されます。もし養育費の支払いを滞納した場合には給料や財産が差し押さえられます。また学費など普段の生活の他に費用が発生した場合には、お互いの収入の割合でその費用をそれぞれ負担することになります。 4.セパレーションアグリーメントは必須 お子さんがいる家庭が離婚をする場合にはセパレーションアグリーメントは必須となります。そこには養育のスケジュール、養育費、子どもに関する事柄の決定権はどちらが持つのかなどが書かれる必要があります。また家庭によっては子どもと旅行をする際の取り決め事やRESP(国の学費積み立てプログラム)に関して記載をする場合もあります。 日本とカナダで大きく違うのは親権の部分かもしれませんね。結婚相手の元配偶者との間の子どもが家に来て自分たちの子どもと時間を過ごす、という状況はカナダではごく一般的ですが日本の方にその話をするとビックリされるかもしれません。 安藤 SPECHT & PRYER   Barristers / Solicitors   Suite 1150 - 789 West Pender Street | Vancouver, BC V6C 1H2 Office:604.681.2500 | Fax: 604.736.0118 Specht and Pryer Website 記事の内容は正確な情報を書くように努め

もしカナダで亡くなってしまったら

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こんにちは、通訳の安藤です。 あまり縁起の良い話ではありませんが今回はBC州で亡くなられてしまった場合、自分の財産はどのように家族へ渡るのかをお話したいと思います。 BC州で人が亡くなった場合にはその方の遺言書に沿って資産の分配が行われます。その分配の手配をするのは遺言書内で定められている遺言執行者または管理者(Executor or Administrator)が行います。遺言書がない場合には一般的には遺族の方がどなたか代表で遺言執行者に申し込むことができます。 遺言執行者はプロベートという法的手続きを行います。プロベートとは遺言書が有効であるかを確認するための手続き、とBC州政府のウェブサイトでは定義されています。資産の種類にもよりますが、遺言執行人はこの手続きを経たのち個人の方の遺産へアクセスをすることができるようになります。 例えば故人の方の遺産の大半が投資や預金といった形で銀行へ預けられていたとします。遺言執行人はプロベート手続きを経た後に銀行から故人の遺産を引き出せるようになります。 またプロベート時にはプロベート費用がかかります。こちらは日本でいう相続税のようなものですが日本では場合によっては総額の半額ほど徴収されるのに対して、カナダでは最大1.4%です。(ただし資産の種類によっては他の税金がかかる可能性があります。) 遺言書無しで亡くなられた場合、遺産の分配は法律に基づいて行われ、家族は分配方法を決定することはできません。基本的には配偶者、子ども、その他家族の優先順位で受け取る権利があります。またプロベートを行う弁護士は分かり得るすべての家族へ連絡を取るなど仕事内容が増えるため遺言書がないとプロベート費用がかさみます。 最近はオンラインなどで自分で作る遺言書などもありますが、この遺言書の内容がBC州の法律に沿っていないことがあるため、いざ必要となったときに蓋を開けてみたら効力のないものであったという事があります。一例としては故人の子どもへの遺産分配を正当な理由なしに不平等に分配する内容の遺言書を自分で用意したために、その子どもが裁判を起こして平等に分配された、などです。この事から遺言書を準備される際には弁護士へ相談されることをお勧めします。 参考: https://www2.gov.bc.ca/gov/content/life-events/deat

恋人と一緒に暮らす前に知っておきたいこと

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こんにちは通訳の安藤です。 家賃の高いバンクーバーでは恋人ができたらその人と一緒に暮らし始めるのが早いと聞きます。二人で暮らせば家賃は半分にできますし、二人で過ごせる時間も増えますし一石二鳥ですね。 BC州家族法では恋人と結婚をしなかったとしても2年間同棲をした場合もしくは二人の間に子どもが生まれた場合には「婚姻しているような関係」にあったとみなされます。よって二人が別れる時、もしくは一方が亡くなってしまった場合に法的な責任や権利が発生します。以下は一例です。 子どもがいる方と暮らす場合: 最低一年子どもの親と子供のサポートをし、かつ子供の親が裁判所へ養育費の請求をした場合、別居時にはその子供の養育費を支払わなくてはいけない可能性があります。 資産について: アグリーメントを作成した場合を除いて、同居を始めてから発生した資産は二人の物です。別居時にはこれは二つに平等に分ける事になります。誰がその資産の持ち主として登録されているかというのは問題になりません。 遺言書について: 遺言書がなく亡くなった場合には遺産の一部は自動的に配偶者に渡されます。またたとえ遺言書に配偶者には何も渡さないと書いたとしても、配偶者は遺産を受け取る為に本人が亡くなった後に裁判所へ訴えを起こすことができます。(話がそれますが遺言書を弁護士を通して作成したほうが良いのはこういったトラブルを防ぐためです。) ご自身がどのような権利や義務を負うことになるのか、またトラブルを防ぎたいという相談がありましたらどうぞ弊社までご相談ください。 参考 https://family.legalaid.bc.ca/separation-divorce/common-law/what-you-need-to-know-before-you-move-in 安藤 SPECHT & PRYER   Barristers / Solicitors   Suite 1150 - 789 West Pender Street | Vancouver, BC V6C 1H2 Office:604.681.2500 | Fax: 604.736.0118 Specht and Pryer Website 記事の内容は正確な情報を書くように努めていますが、情報の正確性・信頼性を保証するものではありません。 当ブログの内容を